2011年8月8日月曜日

オノ・ヨーコ、脱原発を訴える「アイスランドを見習うべき」



【8月8日 AFP】原発から再生可能エネルギーへ移行し、地熱発電を利用しよう―東日本大震災後、初めて日本を訪れたオノ・ヨーコ(Yoko Ono)さんがエネルギー問題に対する思いを語った。

 オノさんは4日、都内にある森美術館(Mori Art Museum)で開催中の展覧会「希望の路(The Road of Hope)」の一環として行われたトークイベントに出席。AFPのインタビューで、第2次世界大戦と原爆投下から再生を遂げた日本は、震災と原発事故からも再び蘇ることができると力を込めた。

■もうひとつの地震国、アイスランドの地熱発電

「今の状態は悲惨。もちろん、私たちは原発を廃止しなければならない」。オノさんは日本の原発事業に関してこう語り、原発事故は日本だけの問題ではないと訴えた。「これは日本だけに起きたことではなく、私たち全員が共に住んでいる世界全体に起きたことです」

 さらに、日本でも支持が増えている、風力、太陽光、地熱などを利用した再生可能エネルギーへの移行を進めるべきだと語った。オノさんは、日本と同じ地震国であるアイスランドで地熱発電を身近に感じるようになったという。

 アイスランドはエネルギーの80%を地熱発電と水力発電でまかない、暖房や給湯の90%に地熱を利用。2050年までに脱化石燃料社会の実現を目指している。

 オノさんは日本には温泉が豊富にある点に触れ、地熱発電はひとつの解決策に過ぎないかもしれないが、安全で汚染や公害もなく、最適なオプションで「目の前にあるのだから使えばいいだけ。一番安全だと思う」と話した。

「アイスランドではかつて石炭が使われ、街中が汚れていた。しかし、不況に襲われて石炭を購入できなくなり、地熱を使うことを発見した。1930年代というかなり前にです」

 オノさんは、アイスランドは街が美しいだけでなく、石油産業の周辺にいる人びとに依存していない点が素晴らしいと話し、世界の皆がそうできると述べた。

■広島、長崎の悲劇から再生できたのだから…

 アーティストであり、ミュージシャンであり、長年、平和活動家としても知られるオノさんは今回、第8回ヒロシマ賞(Hiroshima Art Prize)を受賞。広島を訪れた後、長崎も訪問した。

 戦後同様、日本は再起できると語るオノさんだが、戦後と違い、今回は世界が日本を思いやってくれているという。「3月11日の後、私はニューヨークにいたが、欧米から日本に向けられる驚くほどの敬意と温かさを感じた」

 戦時中はまだ子どもで日本にいたオノさんは、広島・長崎、そして日本全土がいかに再生したかを覚えていると話す。「本当にひどい状態だった。東京で家を持っていた人なんてほとんどいなかった。すべてが破壊された。でも日本は、経済的な意味で素晴らしく繁栄した国として蘇った」

 最後にオノさんは日本にエールを送った。「(戦後の)国民は不満を口にせず、ただやり遂げた。それが、とても日本人らしい。それを成し遂げたことに誇りを持ってほしい。日本は、再び蘇ることができると信じて」(c)AFP/Frank Zeller

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